人生最初のトラウマであるバース・トラウマ
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心と体に大きな影響を及ぼすバース・トラウマ

バース・トラウマとは出生時に発生するトラウマのことです。

バース・トラウマのことを気にかけている人はあまりないかもしれません。

一般的なトラウマ同様、バース・トラウマは、うつを始め様々な精神的物理的な症状に関係しています。

今回、バース・トラウマのことを改めて書こうと思った理由があります。

オステオパシーの名医であるロバート・C・フルフォード博士の著書『いのちの輝き』の中で、バース・トラウマのことが書かれていたからです。

博士曰く「私の経験から見て、出生の時にトラウマが生じる比率はかなり高いと言わなければならない」

多くの患者を診る中、心身に現れる症状の多くにバース・トラウマが関係していると仰っています。

博士のいうバーストラウマの仕組みを本から引用します。

多くの人にとって、誕生は最初の大きなトラウマになる。

胎児のからだは産道を通るために小さく圧縮されているが、楽に出産した時は、赤ん坊も最初の呼吸がしっかりとできて、からだがすぐに大きく広がってくる。

不幸なことに、現代の多くの出産ではそのプロセスが正常に作動せず、からだが十分に広がらないので、赤ん坊にアンバランスの歪みの素因を持たせることになる。

胎児は、産道を通過する際はギュッと圧縮された状態です。

生まれて最初のうぶ声をキッカケに、縮んだ姿勢がゆるみ、全身の骨組みがリセットされるとのこと。

うぶ声、つまり最初の呼吸ということだと思います。

最初の呼吸がうまくかなかった場合、自力で頭蓋骨を広げることができずそのまま成長します。

頭蓋骨だけでなく、体の骨組みがリセットされなかったことが原因で様々な心身の症状が現れます。

理由は、きちんとした骨組みでないために本来スムーズに流れるはずのリンパ液・脳脊髄液などの水分や生命エネルギー(気)がうまく流れないからです。

これ以外のバース・トラウマについても、例をあげておきます。

  1. 産まれる際に鉗子などの金属器具が使われた
  2. 産まれた際に泣かなかったからと医者に体を叩かれた(最近はないと思いますが)
  3. 産まれてからすぐにへその緒を切る
  4. 産まれる際にへその緒が首に巻きついていた

などがありますが、他にも帝王切開など自然とは呼べない出産の場合は、トラウマが発生する一因になると考えられます。

物理的バース・トラウマと精神的バース・トラウマ

上にあげた例の中で、2番以外は全て肉体的な衝撃による物理的バース・トラウマ。

バース・トラウマには精神的なものもあります。

上の2番では、体を叩かれた時の〝恐怖〟という心の傷が精神的トラウマとなります。

実は精神的トラウマの中には、産まれる前のお母さんのお腹の中にいるときに作られる場合もあります。

赤ちゃんはお母さんのお腹の中で、周りで起こった出来事をお母さんと同じように見て聞いています。

お父さんやお爺ちゃん・お婆ちゃんの発言、側にいる人達の発言もちゃんと聞こえています。

たとえたった一言であっても赤ちゃんにとって辛く悲しい発言だと、それが精神的バース・トラウマになり得るのです。

特にお母さんの抱く感情や発言は赤ちゃんにダイレクトに伝わるので、注意が必要です。

人間として日常的な喜怒哀楽は当然のことなので、そんなに神経質になることはありませんが、慢性的に続くネガティブ感情(怒りや苦痛)は要注意。

お母さんのネガティブ感情を全て赤ちゃんが引き受けてしまい、それが精神的バース・トラウマになります。

妊娠期間中に家族等に不幸があり、なかなか立ち直れなかった場合などもそうです。

ネガティブ感情をいつまでも引きずると、当然赤ちゃんの心にも影響します。

身内の不幸は悲しい出来事ですが、新しい命にフォーカスして赤ちゃんに気持ちを集注してあげてください。

妊娠期間中は、お母さんはもちろんですが、周囲の人も赤ちゃんが傷付くような発言は控えるよう意識することが重要です。

また、お母さんが楽しくリラックスして過ごせるよう、周囲の人がサポートすることも必要です。

バース・トラウマが発症するキッカケ

物理的バース・トラウマの場合はトラウマの発生=キッカケになるので、生まれてからすぐに症状が現れてもおかしくないと思います。

子供の問題行動、例えば奇声を発したり制御できない行動を起こし親が手をつけられない状態の場合は、物理的バース・トラウマが原因かもしれません。

精神的バース・トラウマの場合は、受けた心の傷と同じ感情を抱く出来事、それがキッカケで発症すると考えられています。

生まれてから10歳くらいまでは、バース・トラウマ以外の新たなトラウマを作りやすい時期です。

子供は注意力が足りないため、些細なことで怪我をしたり事故に遭ったりするので、そういった体験からトラウマが発生します。

また胎児期同様、両親や祖父母、周囲の人の発言や、イジメや虐待などからトラウマが生まれます。

バース・トラウマとその後の出来事の関係

出生時のトラウマは、自殺との関連性が高いという研究結果があります。

縊死・溺死・ガス死など窒息を死因とする自殺者は、出生時に酸素不足(呼吸困難)を経験している人が多いようです。

イギリスの医学専門誌「ランセット」で発表された研究結果で、自殺した若者の共通点は以下の三つ。

  1. 出生時に1時間以上の呼吸困難を経験した
  2. 母親が妊娠12週目以前に適切なケアを受けていなかった
  3. 妊娠中、母親に慢性病があった

また、周産期(出生前後)の経験とその子の青年期の出来事との関連性の研究結果もとても興味深いです。

麻薬中毒者は、分娩時の母親の麻酔薬や鎮痛剤の使用と強い相関関係があるとか。

鉗子分娩、麻酔の使用(無痛分娩)、分娩誘発、誕生時の蘇生などが、自閉症を引き起こす要因になり得ると主張する医者も複数います。

統計学的なものなので、必ずしも当てはまるわけではありません。

子供がバース・トラウマを持っているかもしれないと思った方へ

ここまでバース・トラウマのことを読み、不安になった方もいるかもしれません。

帝王切開で出産された方、麻酔を使用された方、陣痛促進剤を使用された方などなど。

たとえバース・トラウマを持っていても、生まれてからの両親との愛ある生活の中で、トラウマは徐々に癒され消えていきます。

両親はどんなことがあっても自分を守ってくれるという絶対の安心感は、子供のバース・トラウマをなかったことにできます。

まずは、両親が、生まれて来る時の子供の恐怖心を理解してあげることが一番重要。

「怖い思い、苦しい思いをさせてごめんね〜」

「〇〇ちゃんは、宝物。大好きだよ!」

などを言いながら、いっぱい抱きしめる。

赤ちゃんに話しかけても理解できないなんて思わないでください。

ちゃんと理解して伝わっています。

ただ、これは精神的バース・トラウマの場合に限られます。

物理的バース・トラウマの場合は、骨組みをリセットしてエネルギーを流す必要があるため物理的な対応が必要です。

その前に、自分の子供が物理的バース・トラウマであると判断するのは難しいと思います。

もし、物理的バース・トラウマに関心があるなら、『いのちの輝き』のご一読をオススメします。

図書館で借りられる本です。

バース・トラウマの件でご質問がある場合は、問い合わせよりご連絡ください。

直接、返信はできかねますが、stand.fmラジオ内で回答をさせていただきます。

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